ここ数年、大規模な改修や立て替えを進めている福岡空港。
もっとも古い建物で、主にLCC用として使われていた第1ターミナルは2016年で閉館。新たな空港ビルが2017年12月現在も建築中。
2019年春に全面リニューアルオープンが予定されています。
福岡空港国内線旅客ターミナルビル再整備事業は、平成27年6月に着工しこれまで1年8ヶ月が経過しました。現在、平成31年春の全面リニューアルに向け、鋭意工事に取り組んでいるところです。
国内線旅客ターミナルビル再整備事業の進捗状況について | 福岡空港
そんな過渡期にある福岡空港に2017年11月、新たにオープンしたのが「ラーメン滑走路」。
福岡のみならず全国の有名人気ラーメン店が集合した、福岡で言えばキャナルシティの「ラーメンスタジアム」、横浜だと「新横浜ラーメン博物館」のようなものなのですが、ラインナップがかなり凄い。
10店舗中6店舗が九州初出店の店舗で、例えば東京からは人気つけ麺店「つじ田」や煮干しラーメンの「凪」、北海道から道外初出店の「弟子屈(てしかが)ラーメン」、大阪からこちらも大阪以外でははじめての出店となる「まんかい」。
期間限定店舗として、福岡をおさえラーメン消費量日本一の山形から「ワンタンメンの満月」、一風堂からスピンオフした焦がし味噌ラーメンの「五行」。
福岡からは、当ブログでもおすすめした魚介豚骨やラーメンジェノバが食べられる「海鳴(うなり)」、泡立つ濃厚豚骨の有名店「一幸舎」、福岡空港で長年営業していた店がリニューアルした「屋台ラーメン玉龍」。
「茶寮 伊藤園」も併設されており、地元産の八女茶や九州産の茶葉を使ったオリジナルスイーツを楽しむことができます。
この記事ではラーメン滑走路を案内するとともに、まずは「ラーメン海鳴」を皮切りに全てのお店のレポートを随時追記していきます!
全国の名店が集まる「ラーメン滑走路」が福岡空港にオープン
2017/11/21に福岡空港にオープンした「ラーメン滑走路」。
なぜ空港に?と疑問に思うかもしれませんが、日本第4位の乗降客数の多さ(1〜3位は羽田、成田、関空)、ラーメン大好きな土地柄、そして街から近く福岡市民にとってもアクセスの良い立地、というのもあるのかもしれません。
北海道の新千歳空港にもラーメンをテーマにした「北海道ラーメン道場」がありますが、こちらはあくまで地元北海道のラーメンを観光客に味わってもらおうというコンセプト。
福岡空港のラーメン滑走路には福岡のみならず全国各地のラーメン店が集まっており、空港でのこういった試みは全国初と言えるでしょう。
ラーメン滑走路があるのは、国内線ターミナルビルの3階。国際線ターミナルへは連絡バスで10分ほどかかるので、海外への便に乗る前に行く場合は時間に気をつけて。
エスカレーターやエレベーターを上へと上がっていきましょう。
1階から3階へとスッと上がれないのが若干面倒な構造ですが、途中のショップでも眺めながらゆるりと。
ターミナル3階、ここがラーメン滑走路の入り口ですね!入り方によっては入口がやや死角になっていますが、近くまで来れば気付けるはず。
出店しているラーメン屋さんは全部で9軒。
福岡3、東京3、大阪1、北海道1、山形1とバラエティ豊富なラインナップ。
※「ワンタンメンの満月(山形)」、「博多焦がし味噌専門 五行(東京)」は期間限定店舗のため、今後入れ替わる可能性あり
それに加え、伊藤園が出店している和スイーツ屋さん「茶寮 伊藤園」もあります。
“ラーメン滑走路”という名前の通り、滑走路っぽくデザインされている通路。さすがに全体的にまだまだ真新しい。
ラーメン海鳴(福岡)でラーメン辛子明太子。邪道、それとも…?
最初に訪れたのは、福岡で4店舗を展開する人気店「ラーメン海鳴(うなり)」。
代名詞である魚介豚骨スープと、中洲店限定の洋風ラーメン「ラーメンジェノバ」が特に有名な店です。
ベーシックなとんこつ、海鳴の基本である魚介とんこつ、中洲店で人気のラーメンジェノバ、そして空港店限定の「ラーメン辛子明太子」なる新メニューが。
福岡名物を無理やり組み合わせたような辛子明太子メニューは基本的に邪道だと思っている私ですが、ここはチャレンジでラーメン辛子明太子、いってみましょうか。
というのも、例えば某有名うどん店などで辛子明太子を乗せたメニューがあるんですが、混ざってしまうと明太子やダシの風味が消えてしまったり、ただただスープの塩味が濃くなったりするだけだったりするんですよね。。。大丈夫だろうか。
店内はテーブル席とカウンター席で、割と広め。平日の16時頃だったこともあり、海鳴に限らずどの店も並んだり混んではいませんでした。
卓上にはすりゴマ、コショウ、紅しょうが、にんにく。加えてラーメンジェノバ用なのか、タバスコまで置いてあります。
待つこと5分ほどでやってきたラーメン辛子明太子。ラーメンの上に辛子明太子が乗っているだけかと思いきや、スープやネギなどに明太子のつぶがちりばめられているのが見えます。少なくともただ乗せただけではなさそう。
塩分の強い明太子が全体のバランスを壊してしまわないか心配ですが……はてさて。
スープを一口。おおっ、めっちゃうまい!そして濃厚ピリ辛。
海鳴の魚介豚骨スープに、辛子明太子が旨味と辛味をプラスしておりしっかりと調和。濃い・辛いが苦手な方にはどうかわかりませんが、どちらも好きな私にはピシャっとくる味。
明太子を切り取ってもう一口。強い辛子明太子の風味が口の中を支配…するかと思いきや、スープもしっかり濃厚なので全然負けていない。これは凄いね。
辛子明太子の漬けダレをベースに独自に配合したというスープ、良いよ。
麺自体の風味はそれほど強くないがコシのある細麺。この強いスープにはこれが合うんでしょう。合ってるし。
チャーシューは薄めのものが3枚で、染み込んだ味というよりも炙った香ばしさが主張してくるタイプ。
素直においしかったし、主張の強い辛子明太子がラーメンの上に乗ってケンカしないようにまとまっているのが驚きでした。辛子明太子+ラーメンなんて邪道だと多くの福岡県民は思うかもしれませんが、一度食べてみてほしい。
はじめて飛行機に乗る以外の目的で空港来た。海鳴やっぱうまいわ。 (@ ラーメン海鳴 in 福岡市, 福岡県) https://t.co/Go07Hvl93Z pic.twitter.com/Wv5etuJ7Gq
— Shotaro Ushijima (@ushigyu) 2017年12月5日
ラーメン凪(東京)
この日は東京・新宿を中心に展開している煮干しラーメンの「ラーメン凪(なぎ)」へ。
“我が煮干しに一片の悔い無し”意味はよくわかりませんが、オーナーが北斗の拳ファンなんでしょうか。
メニューは煮干ラーメン、煮干つけ麺の2系統。
入り口横で食券を買ってから着席するスタイル。平日16時頃と微妙な時間だったせいか、サイドメニューは軒並み売り切れ状態でした。
店員さんに「ご来店は始めてですか?」と尋ねられ「はい、始めてです」と答えると、席に備え付けのタブレットに食券をかざしてこの画面にまですすめてくれました。
画面をタッチして好みを選び注文してください、とのこと。
QRコードが印刷された食券。
来店が2回目以降だったり混んでいるときは、自分でタッチしながら進めていくということでしょう。
1席ずつに設置されたタブレットは、すべてiPad miniのようでした。
注文用のアプリをどこかに依頼して作ったんでしょうね。先進的ぃ。
注文を待っている間、麺をこねたりゆでたりとラーメン調理中の動画が流れます。面白いけどこれ、いる?笑
追加注文もiPadから。スシローみたいな感覚ですね。
店内は3列のカウンター式。3人以上のグループには向いていないので、1〜2人のときふらっと寄るのが良さそう。
卓上の煮干し入り酢は、入れると味が大きく変わる強めの酸味があるので注意。
全席がカウンター席となっているのは、レールを使った提供システムを採用しているため。
このレールを伝ってラーメンが運ばれてくるわけやな…!iPhoneのカメラを構えつつ待つ。
……と思ったら上のレーンから来たー!上下2列あったんかい!まんまと動画を取り逃す。
せっかくなので返却シーンは撮っておきました。ラーメンを受け取ったら「上段(下段)レーンを返却する」をタップ。
以前、新宿ゴールデン街で食べた煮干ラーメン。まさか福岡で食べられる日が来るとはね。
煮干としょうゆのコクが溶け込んだスープ。福岡には無いタイプ。
たまに食べたくなるんですよねー。
大判のチャーシュー、駒ネギ、煮干、辛味(オーダー時に選んだ量)、そしてワンタンのように見えるのは凪名物「いったん麺」。
名古屋きしめんの3倍はあろうかという幅のある、ピロピロした麺。トゥルンとした食感が楽しい。
メインの麺はゴワっとした歯ごたえのある太麺。
シャキシャキっとした駒ネギ。これ好きなんですよねー。
お好みでオーダーした辛味(おそらく一味唐辛子)と、甘辛く煮た煮干の佃煮が乗っています。
チャーシューは薄めで大きく、ハムっぽい味わい。
最後のアンケートまでタブレットで完結。設備やアプリへの投資はそれなりにかかるだろうけど、それに対して人件費の削減がどの程度できているのか聞いてみたいなー。
まんかい(大阪)
大阪発の豚骨ラーメン店が、本場である福岡の空港に出店。「まんかい」さんです。
メインメニューは純とん、潮とん、トマとん、淡麗豚そばの4種類。初見なので、基本と思われる純とんの煮玉子入りをチョイス。
店員のお姉さんは気さくな接客、厨房で作業されてる方も威勢よくあいさつしてくれていずれも好印象。
博多の名店で19年修業した後に大阪で開店したお店らしい。
空港だからというのもあるでしょうが、福岡で食べる豚骨ラーメンにしてはそこそこ値段は張る印象。
卓上には辛子高菜、にんにく、紅しょうが、替え玉用タレ、すりごま、こしょう、餃子用のタレなど。
こちらが「まんかい」の純とん煮玉子入り(920円)です。
豚骨らしい白濁スープに円形で味付け控えめそうなチャーシュー、きくらげ、青ネギ。それにトッピングの煮玉子。
まずスープいってみましょう。
うん、おいしい!おいしいが……これは一風堂の白丸元味……?
修業したという”博多の名店”って一風堂のことで間違いないな、と確信。
ラーメン店で修業した店主が独立するのはよくあることですが、これはあまりにも味がそのまんますぎるのでは。。。忠実に再現されてはいるけれど。
(細かい違いはあるのかもだけど、私の舌ではわからなかった)
麺の細さもそのまんま。おいしいよ、おいしいんだけどね。
チャーシューはどうだったかなーと思って一風堂のサイトを確認したところ、やっぱり形といい味付けが控えめなところといい似たようなものだった。具もきくらげ、ネギで一緒。
そう言えば卓上の辛子高菜が入ってる器も一緒のタイプだし、TPPもここに極まれりという感じ。本家はどう思ってるんだろう。
せっかくなら辛もやしも置いてほしかった。
おいしいラーメンを雰囲気の良い空間で食べられるのは間違いないので、そういう点ではおすすめできます!
ただ、味は(少なくとも「純とん」は)完全に一風堂の白丸元味なので、新たな発見やご当地ラーメンを求めている方は別の店の方がよいかもしれません。
屋台ラーメン玉龍(福岡)
「屋台ラーメン玉龍」は、福岡空港国内線で長く運営してきたラーメン屋さん。
空港リニューアルに伴い、新たな屋号とスープをもってラーメン滑走路に登場しています。
基本的にはオーソドックスな豚骨ラーメンですが、軽く飲むのにも使えそうなサイドメニューや担辛麺なんかもあるらしい。
基本のラーメンの価格は720円。福岡民がラーメンに出すには少し高めですが、近年のラーメン価格上昇および空港という立地を考えればこんなものでしょうか。
卓上には紅生姜、辛味のない高菜漬け。
なかなか良いビジュアルのラーメンですね。
具はチャーシュー、キクラゲ、ネギ。
濃すぎず薄すぎない、ややクリーミーめな豚骨スープ。
期待を大きく上回ることはないが下回りもしない、”普通においしい”という感想。
麺は加水率低めで、固麺であれば小麦のポキポキ感を感じられるもの。私は好きなタイプ。
チャーシューは丸型で薄め、味付けは感じない程度。
個人的には、特別に推奨・非推奨のどちらでもない普通の店です。
スタンダードで奇をてらわない豚骨ラーメンが食べたい、他店が混んでいて時間がないときなどによい選択肢かと。
以下は今後追記予定の店舗です。
つじ田(東京)
弟子屈(てしかが)ラーメン(北海道)
一幸舎(福岡)
以下は既に閉店した店舗です。
【閉店】ワンタンメンの満月(山形)
実は一人あたりラーメン消費量が日本一だという山形県から期間限定でラーメン滑走路に参戦中の、「ワンタンメンの満月」。
「極薄ふわとろワンタンメン」が基本で、そこにトッピングをしたり、あとはおつまみやお酒などがある程度のシンプルなメニュー。米どころでもある山形の庄内米も味わいたかったですが、さすがにお腹が膨れすぎるので今回は煮玉子入りワンタンメンを注文。店内の券売機でどうぞ。
おそらく期間限定店舗用だと思われる、カフェっぽい内装。
どうやら「ワンタンメンの満月」は、山形県酒田市で生まれたラーメンらしい。中国の料理人が酒田で支那そば屋を開店したのが期限で、煮干と昆布でとったスープに極薄のワンタンが特徴とのこと。
ご当地ラーメンといえば福岡、北海道、喜多方(福島)あたりが有名かと思いますが、酒田市にもまた独自のラーメン文化があるんですね。
美しい黄金色のスープをたたえるラーメンが到着。
具は極薄のワンタン、細切れとバラ肉の2種類のチャーシュー、白ネギ、メンマ、トッピングの煮玉子。
スープをすすってみると、醤油・煮干し・昆布のしっかりとした味が広がります。これはダシだね、うん。醤油のパンチを効かせたダシラーメンだ。
ダシLoverの私としては好きな味。
その名に違わずふわふわとろとろのワンタン。箸で持ち上げても溶けて崩れていきそうなくらい。
ワンタン内に具はほとんどなく、ダシを纏ったワンタンのふわとろ食感を楽しむ感じ。
なめらかな中太ちぢれ麺が、ダシスープによく合います。好き嫌いの分かれにくい、日本人なら誰もが中の上以上の評価をするであろう優等生な一杯でした。
【閉店】博多焦がし味噌専門 五行(東京)
一風堂の運営元である「力の源カンパニー」がプロデュースする、博多焦がし味噌専門店の「五行(ごぎょう)」。期間限定でラーメン滑走路に出店しています。
10年以上住んでて”博多焦がし味噌”なるものは見たことも聞いたこともないけど、果たして。
味噌・醤油・豚骨の3種があり、味噌・醤油はいずれも300℃以上の高温で焦がしてあるのが特徴。豚骨には焦がし醤油香油がトッピングしてあるようです。
今回は初回なので、いちばんの定番だと思われる焦がし味噌で勝負。
こちらも「ワンタンメンの満月」と同じく、期間限定店舗用のカフェ風内装。
やってきた焦がし味噌ラーメンは、名前通り焦げていて真っ黒!具の彩りは引き立つものの、スープの色では何ラーメンかわからないほど。
どれどれ、スープの味は…あれ?よくわからない。
確かに焦がした香ばしさは感じるのですが、肝心の味噌スープの味が薄いというか、コクも旨味もあまり感じない。うーむ。。。
味噌スープって例えば白味噌ならまろやかなコク、赤味噌ならシャープな味わいがグッとくるイメージなのですが、そのどっちもない。味噌どこいった?
麺は味噌にしては珍しい細麺。ですがスープが個人的にかなりイマイチなので、麺が合う合わない以前の問題ですねこれは。
店員さんが外国人アルバイトらしき人だったところから見ても、あまり力を入れていないのかな。がっかりでした。私はオススメしません。
※外国人アルバイトが悪いというわけではなく、社員や職人を使わず一時雇いで済ませようとしているのかな、という意味です
一風堂さんは基本的に好きなので、改善期待ですが手が回らないなら無理な出店やめた方がいいんじゃないかなーと。
あとがき
何よりも、福岡空港でおいしいラーメンが食べられるようになったことが嬉しい。福岡でラーメンを食べ損なった観光客や出張族も、全国のラーメンを味わってみたい地元民も、それぞれ楽しめるスペースになっていると思います。
旅行や出張の行き帰りに、あるいはただラーメンを食べに、ラーメン滑走路へGO!
施設名 | ラーメン滑走路 |
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住所 | 福岡空港国内線ターミナルビル3F |
営業時間 | 10:00〜21:45(オーダーストップ21:00) |
定休日 | 無休 |