2015年2月24日
書籍レビュー

The other side of food 1

私は、たまにFacebookやアメブロなんかで見かける
「◯◯には放射性物質が含まれている!海外基準で言えば異常だ!」
とか、
「△△は食べてはいけない!人体に悪影響ガー!」
みたいな、さしたる根拠も示さず(提示してもトンデモ研究だったり誤訳だったりして)不安ばかりを煽る言説は嫌いで、余程でない限りはストレスなく食事を楽しんだ方がよっぽど健康に生きられると思っている質です。


そうやって無闇に不安を煽るのではなく、私たちが日常生活で驚くほど大量の食品添加物を摂っているという事実に気付かせてくれるのが、今回紹介する「食品の裏側―みんな大好きな食品添加物」という本。

身近な食品に大量に使われている、食品添加物

この本の著者の安部さんという方は元食品添加物関連の商社に勤めており、元々は添加物を売り歩いていた営業マンだったとのこと。そういった立場の人があるとき「我が子には自分が売っている商品を食べさせたくない」と気付き、その後は添加物に関する講演など啓蒙活動を行っているらしいです。

食品添加物は極めて多くの食品に使われており、完全に回避するのはほぼ不可能。ですがそこに神経質になりすぎるのではなく、「この食品には安価な代わりに多くの添加物が使われている」「本物ではなく、似せて作られた調味料である」といったことを認識するのにはよい本だと思いました。



たとえば例として挙げられているのが「調味料(アミノ酸等)」「乳化剤」「酸化防止剤」「pH調整剤」「増粘多糖類」といった食品添加物。あなたが今日食べたものの成分表示を見てみてください。9割方どれかは入ってるでしょ?

「アミノ酸等」の「等」にどれだけのものが含まれるか定かではないし、同じ目的に使われるのであれば一括表示してよいという法律のもとで、例えば「pH調整」のために何種類の物質が使われているかもわからないのです。

「しょうゆ」「しょうゆ風調味料」の違い

The other side of food 3
醬油 soybean sauce / *嘟嘟嘟*

この本で大きく問題視されていることが2つあります。
それが「食品添加物を併せて食べたときの影響」そして「本物の味がわからなくなること」。

そのうち前者に関しては、いずれにしろ素人どころか専門家であっても完璧に調べきることは不可能に近いでしょうし、現代であれば大きく問題のある食品であればさすがに検査段階で弾かれるのではないかと。なのでよほど偏った食生活をしなければ大丈夫だと(独断と偏見ではありますが)判断しているので、とりあえず置いておきます。

食品添加物に限らず自然のものであっても、食べ合わせによる影響があるのは同じことですしね。


私が気をつけたいと思うのは、後者の「本物の味がわからなくなること」。

例えば、「しょうゆ」と「しょうゆ風調味料(食品表示上は同じ『しょうゆ』)」の違い、わかるでしょうか。
本来であればしょうゆの原料は大豆や小麦などの穀物、食塩から作られますが、後者はアミノ酸液や食品添加物などを使って作られた(あるいは嵩増しした)ものです。

うちに置いてあったしょうゆも、本来のしょうゆの作り方ではなく混合醸造、つまりアミノ酸液を使って作られたものでした。

The other side of food 2

これはメーカーの問題というより、成分表示も大して見ずに安いからと買う私含む消費者のリテラシーの問題なのかもしれません。
※ちなみにこちらのメーカーさんは、別途昔ながらのしょうゆも販売しています。当然そちらのほうが数倍高価。

アミノ酸液特有のうまみもありそちらの方が好みという人もいるので、どちらが良いという話ではありません。
ただ、本来のしょうゆの作り方とは全然違う作り方、違う風味のものを「しょうゆである」と認識してしまうのはどうなのかなと。

これはしょうゆに限った話ではなく、ほとんどの調味料で同じようなこと、つまり「似せて作られた製品が本物と同じように売られている」といったことが起きているのです。

「化調」「たんぱく加水分解物」の濃厚な味で舌が麻痺する

ラーメン二郎三田本店
[ラーメン]これが本店の味とボリュームだ!ラーメン二郎三田本店 in 東京・三田より)

最近家庭では(そのものズバリの瓶は)あまり見かけなくなってきた化学調味料ですが、今でもお店や加工食品には多く使われているようです。ラーメンにもよく使われており、最近では無化調を謳うラーメン店も増えていますね。化調なしでうまみを出すのは数段難しいはずなので、すごいことです。

例えば横浜の「らーめん春友流」とか。

Ramen harutomoryu 9

もう1つ、添加物としてよく使われているのが「たんぱく加水分解物」。
これは非常に濃厚で強い味なので慣れてしまうと舌が麻痺してしまい、素材本来の味、淡白な味をおいしいと思えなくなってしまうそうなのです。

そうなると、濃い味付けの加工食品・インスタント食品ばかりを好むようになり、脂肪分や塩分、糖分のとりすぎも懸念されます。自分はまだしも子供がそういう味覚になってしまうのは避けたいですよね。。。


しばらく添加物を摂らない食事を続けたり、ファスティング(プチ断食)を行うことで味覚をリセットすることは可能なようです。その後に化学調味料やたんぱく加水分解物の多く入った食品を食べると、舌に変な後味が残る感覚がわかるとのこと。

継続的に自炊をしない私には前者はなかなか難しそうなので、ファスティングでもやってみようかなあ。

この本を批判する意見もある

添加物がさまざまな食品に使われているのは事実にしろ、この本に書かれている危険性に関する記述等に関しては批判する意見もあるようです。

そちらも念のため一部載せておきますね。どう判断するかは自分次第、です。

・「(「食品」そのものの粉末を)『試薬瓶』に入れ、いかにも化学物質のように見せているわけである。化学に縁遠い人達からは、これらはすべてダイオキシンなどにつながる『怖い化学物質』のように見える」
・「この著者によって目から鱗が取れた人は、化学の専門家ではない人たちばかりである。何故かと言えば、講演を聴いて目を開かれた方々は皆『自分たちが食べている豚骨スープが、実は有機合成された化学物質の固まりだと認識して食品の見方が変わった』と言っておられるからである。化学の世界で天然物を抽出して『これは有機化学的に合成しました』と言えばいわゆるデータの捏造であり、一般社会でこのような行為のことを『だます』という」
安部司 – Wikipediaより)

あとがき

この本を読んでから、食べ物を買うときに成分表示を見るようになりました。
特定の食品を避けるということは今のところないにせよ、なぜこの食べ物は安いのか、どういったものが使われているのかある程度わかった上で買う方が健全だとは思います。
(一方で知らぬが仏、ということわざもありますが…)

子供のいる家庭であれば特に、娘や息子の味覚を極端な濃い味好きや、繊細な味がわからないものにしないために読んでおくのはアリかと思いますよ。

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