「キャリアプラン」の時代は終わった。来年に向け「人生の旅行計画」を立てよう

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Success is ours!! / seeveeaar

「朝起きて、自分のやりたいことをやれる人。それが成功者だ」 by ボブ・ディラン

かなりグッと来た言葉です。
何をもって成功というかは人それぞれですが、この言葉はかなり本質を突いているのではないでしょうか。

帯に書かれているこのフレーズが目を引く、『だから、僕らはこの働き方を選んだ』という本。

この本では『東京R不動産』という不動産情報サイトを運営する会社が、どのようにして「やりたいことを仕事にする」を実現させているのか、実際にこの会社の経営をしているメンバーが余すところなく書いています。

キーワードは「フリーエージェント・スタイル」

組織に属したサラリーマンになれば、お金とある程度の安定した生活は手に入るけれど、会社内で自分の思うとおりのスタイルを貫くのはなかなか難しい。時にはやりたくない仕事もやらなくちゃいけない。

独立して個人として働くことを選べば、自分のやりたい仕事を選ぶこともできるけれど、それで生活できるかといえばそう簡単にはいかない。収入がサラリーマンに比べ安定しないので、経済的に不安がある。

東京R不動産の「フリーエージェント・スタイル」という働き方は、この一見対立した「組織」と「個人」2つの良いとこどりをして、より「やりたいことを仕事にする」状態を実現させるというものです。

つい先日、会社を辞め個人として生きることを選んだ私にとっても、非常に共感できる、そして今後に向けての指針となる本でした。


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当然ながら、自炊(電子化)してから読みました。

東京R不動産のちょっと変わった働き方「フリーエージェント・スタイル」

RealTokyoEstate-東京R不動産-

東京R不動産のサイトにアクセスしてみると、他の一般的な不動産サイトとの違いに驚きます。

普通、物件の紹介といえば

 「◯◯駅から5分の築浅マンション!この条件でこの家賃はなかなか出ませんよ!」
 「眺望・日当たり良好!静かで便利な◯◯地域でゆとりある生活を」

といった感じが一般的。(たぶん)

東京R不動産はというと…

 「熱帯雨林系」
 「西荻の空に雄叫びをあげる」

サイトに載っているのはこんなフレーズ。もはやこれが物件紹介なのかどうかすらわかりませんが(笑)、紹介文を読んでみると担当者の熱意や人柄が伝わってきます。

それもそのはず、東京R不動産は「メンバーがグッときた物件だけ」を紹介しているサイトなのです。

当然、その物件自体もほとんどが東京R不動産のメンバー自身が調達してくるので、人によってある地域に強い人、特定のジャンルばかりを取り扱う人、など様々。

会社や上司から言われた通りに動いたり、与えられた物件を売るのではなく、個人として自由に物件を選んで仕入れ、お客さんに紹介する。
それでいて必要なときにはミーティングを開き、成果や課題、サイト運営などについて話し合う。

そういった、個人と組織それぞれのメリットを活かした仕事のやり方。
これを東京R不動産では「フリーエージェント・スタイル」と呼んでいるのです。

個人と組織の間、フリーエージェント。そのメリットと厳しさ

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IBM/Tabulating Machine Co. organization chart / Marcin Wichary

フリーエージェントというと、プロ野球のFA宣言くらいしか思い浮かばない方が大半かもしれません。(僕もそうでした)

若干意味合いは異なりますが、本文中でこの「フリーエージェント・スタイル」は野球チームに例えられています。

要するに、各個人は個人事業主でありながら、チームが優勝するために頑張るし、シーズンが終われば、各々の成果によって給料が決定される、といった具合。

[note]別々の個人でありながら、ある目的を持って団結し、時には熱くなって突き進む。(中略)チームの勝利と個人の自己実現。その両方がバランスよく実現しないとハッピーではない。
(P81)[/note]

個人と組織の良いとこどりをし、両方の目的を実現させよう、というのが「フリーエージェント・スタイル」なのです。



もちろん、良い面ばかりではありません。自由に仕事ができる分、責任も伴います。

[note]フリーエージェントには厳しさもある。
すべては自己責任、自分のことは自分でマネジメントしなければならない。
誰かに指示されて動くわけではないから、自分に厳しくなければどんどん堕落する危険がある。
これは人によってはシビアなことだ。
(P53)[/note]

自由にやって成果を出さなくても給料は同じ、というわけにはいきません。

野球でいえば年俸ダウン、あるいは最悪の場合自由契約という可能性だってあります。

とはいっても、完全に個人で事業をする場合に比べればかなり「組織」の恩恵を受けられるのも事実。
他のメンバーと情報交換したり、組んで一人ではできない規模の大きなことを実現できる場合もあるでしょう。
Webサイト「東京R不動産」という媒体を使えるのも大きいです。

[note]働き方3.0とは、会社と独立の中間となるオルタナティブな働き方だ。
会社に雇われるという規定概念から自由になり、プロジェクト単位で個人が集まってチームをつくり、成果を生み出すという働き方。
(P92)[/note]

厳しい面はあるにせよ、個人と組織のメリットをうまく融合させたこの「フリーエージェント・スタイル」。

これがもっと広まってくれば、例えば個人事業主として活動しつつ、必要に応じて東京R不動産のような組織に参加する、プロジェクト型の働き方(本文中で言う「働き方3.0」)も可能になるかもしれません。

「人生の旅行計画」を立てよう

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Plan de Tor / Monitotxi

[note]僕自身とても臆病で、臆病だからこそ僕の目には、「○○社の」△△です、と「安定した企業」に依存する働き方がむしろリスキーに見えてしまうのである。
(P95)[/note]

今の時代、大企業=安心とは限りません。
大企業であっても傾き得ることは、山一證券や拓銀の例をみても明らかです。

倒産までいかなくとも、財政が悪化すれば会社は人員削減や給与カットをするでしょう。
それでも何とかその会社にしがみついて生きようとするのか。それとも新天地を探したり、個人で何かを始めるのか。
選択を迫られたときに、ためらいなく組織を離れることができる人がどのくらいいるでしょうか?

他には、今年起こった大震災。
どこでどんな天変地異や事故が起こるのか、可能性は高くないとはいえ誰にも予想できません。
例えば自宅近くで原発事故が起こった場合、その場を離れて別の土地で暮らすことができるでしょうか?

もう、名の知れた会社に入れば安心、という時代は終わりました。
本文中にもある通り組織は器か道具にしか過ぎず、結局大切なのは、それを利用して誰が、何をできるかということに尽きます。

会社の中でサラリーマンとして働くにしても、個人としてどう生きるかは考えておく必要があるでしょう。


[note]人生計画はあってもいいけれど、キャリアプランというとついついカタくなる。
だからトリッププラン、つまり旅の計画をする感じがいいのではないかと思う。
(P190)[/note]

数十年前のステレオタイプなキャリアプランというと、

『会社に入って幾度かの転属などを経て少しずつ出世し、給料も徐々に上がって最終的には部長くらいになる。給料も最終的に年収1千万ほどになり、退職後はローンで買ったマイホームで年金をもらいつつ暮らす…』

といった感じでしょうか。

それを否定するつもりはありませんが、もはやそんなキャリアを歩める人は一握り。

日本(というか世界)経済全体が停滞している今、給料はそう簡単には上がりませんし、部長、課長といった会社の上位ポストも限られています。
年金だってどれだけもらえるか怪しいものです。

こういった状況で、どんどん地位や収入が積み上がる前提の「キャリアプラン」を立てるのは、ちょっと苦しい部分があります。思うように「キャリアアップ」できない人の方が多いくらいかもしれません。

一方、本書でも触れられている「トリッププラン(旅の計画)」はどうでしょう。ずいぶんと軽く、楽しそうな雰囲気がしてきますよね。

キャリアを積み上げる「キャリアプラン」から、自分がやりたいことを基準に、新しい出会いや発見をしながら知恵を積み上げていく「トリッププラン」へ。

私自身会社を辞め、キャリアを積み上げるということから降りたのは、このトリッププランを考えた結果なのかな…と今になって思います。

[note]人が幸せを感じるのは、何を持っているか、どんなポジションにいるか、といった絶対値とは関係ないと思う。
昨日よりも進化している実感を持てたり、先に向けて希望があったり、仲間たちと共に目的に向かう前進にこそ充実感や幸せを感じると思う。
(P190)[/note] [note]「好きだから食えなくてもいいんだ」ではなくて、好きなことだからこそ、社会的にきっちり成立させ持続させることに心血を注ぐ。(中略)好きなことをやっていれば、プライベートと仕事の境がないことは、むしろ幸せに思えるものだ。
(P177)[/note]

地位や収入を第一義に考えるのではなく、自分にとって充実感が得られたり、新しい発見がある「やりたいこと、好きなこと」を仕事にすること。

「好きなことを仕事にしてしまったら、好きじゃなくなっちゃうよ」という人もいると思いますが、実際どれだけの人が「好きなことを仕事に」してみた事があるのでしょうか?

もちろん生活できる程度の収入は最低限確保することが前提ではありますが、常に新しい、楽しいことを模索し、経験していけば、少なくとも自分自身は成長している実感が得られ、充実した人生を歩めるはず。個人的にもそう思います。

あとがき

個人や組織、仕事のあり方についてとても考えさせられる本でした。
もし今の仕事に悩みや不安があるなら、ぜひ読んでみてください。

そして、来年に向け「人生の旅行計画」を立てましょう!

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ABOUTこの記事をかいた人

牛嶋 将太郎@ushigyu

牛嶋 将太郎@ushigyu

株式会社エコーズ代表取締役社長(と名乗ってみたくて会社をつくりました)。当ブログにておすすめの製品やお店、旅行先、ガジェットなどを気のむくままに、わかりやすさを心がけて紹介しています。 長崎出身で福岡市在住。東京で就職しましたが独立を機に学生時代を過ごした大好きな福岡に帰還。